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チルダ~日記
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気を失ったミワを抱きかかえながら、シンクは言い知れぬ感情に襲われていた。
何に対してだか分からない。また、認められなかった。絶望。怒り。そして、『君(ボク)だ』言われたときの衝撃。喜び?――それらの全てが胸に混沌と渦巻いて、収まりがつかなかった。
ギリギリと。
肉に食い込むほどに、拳をにぎりしめる。荒れ狂う感情が爆発しそうだ。
息を詰めて見下ろした先に、眠る彼女の顔を見る。――
激しい感情を何とか沈め、息をついた。
眠る彼女を寝台に戻して、ひとまず、天幕を後にした。向かった先は、あの研究者のいる天幕だ。

「解析は、済んだ?」

垂れ幕をめくり上げると、男はあいも変わらず演算装置に釘付けになっていた。振り返りもしない男の後ろに置かれた資料に目を通し、シンクは苦虫を噛み潰す。

「これ、データの改ざんとかしてないよね」

そんな暇な事はしません、と返した男も、相当いらだっているようだった。それもそのはず。解析は命じたが、彼女への接触は禁じたのだ。そんな状況で、まともなデータなんて揃えられる物ですか!と男は頭をかきむしる。

「当初の推測通りです。私の理論に間違いはありませんでした。彼女の体を構築する音素情報は、明らかに異常値を示しています。こんな生物、存在する事がまず有り得ませんね」

男の再三にわたる要請を受けて、シンクが計測してきた彼女の固体データを元に男はそう結論づけた。
人間の体を作る音素は、個体差はあるが、ある一定の音律の組み合わせによって成り立っている。それは、シンク達レプリカも例外ではない。元々、オリジナルを模倣して作られた彼らである。いくら人<オリジナル>に比べ能力等が劣化していたとしても、大本の構成に大きな差異は存在しない。

「あの実験体……失礼。女性の音素は、めちゃくちゃもいい所ですよ。そこら辺りに漂っている音素を適当に集めて、高密度で凝縮したような、そんな法則性の欠片も無いでたらめな構成をしています。動植物とでさえも合致しない。ローレライのような音素の集合体であると言われた方が、まだ納得いきますね」

しかしローレライ達が純粋な音素の構築物であるのとは反対に、彼女は色々なものが『混ざって』いて。その上、栓を抜いた風船のように、急激に『薄まっている』らしい。だから、その可能性は無いだろうと。

「現段階での結論は『存在自体が異常である』ですね。もっと詳しい実験を許していただけるなら、より詳細なデータを出すことも可能ですが?」

不穏な色をその目に乗せて言う男に、シンクは鋭い口調で叱責した。

「殺すよ?」

はいはいと肩をすくめる男を残して、天幕を出た。次は――。

ふてぶてしく居直る男を、シンクは冷めた目で観察した。
髭もじゃの顔に、たっぷりとした上着。一見、人の良い裕福な男に見えるが、それを裏切って眼光がするどい。よくよく見ると非常に均整の取れた、引き締まった体をしていた。ただの商人には見えない。

「そう身構えなくてもいいよ。ただ、話を聞きたいだけだから」

言っても、ちらとも動じた姿を見せない。ここはシンク達が用意した天幕の内のひとつだ。町から連行された男は、縛られ、地面に座らされている。周りは武装した教団員が固めていた。
多勢に無勢だ。これだけ圧倒的な力の差を見せ付ければ、普通は何らかの反応があるはずだが。

「……」

むっつり黙ったまま、こちらを睨みつけて来るだけだった。

「正直に答えてくれたら何もしないよ。無傷で帰してあげるさ。もちろん、君の仲間達もね」
「――何が聞きたい」
「君達の商隊の目的は?」
「……おかしなことを聞く。俺たちは商人だぞ。特に俺の所は、特定のルートは持たない。途中で積荷を補充しながら、次の町へ向かう。当面の目的地としては――ケセドニアだな」



みたいな話を予定してたのですが、隊長さんを書くのが楽しすぎて、家族構成まで考えるに至って冷静になり、止めました。
研究者の男がちょっとジェイドっぽい物言いになったのは、ひとえに管理人の力量不足です……。

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いいかげん、更新しようとがんばったんですがタイムアップでした。
時間が足りない!

ネタが消えてしまう前にちょこっとだけ書いていきます。雪国中心。
途中経過を書くのが非常にめんどくさいためはしょります。

<前回のつづき>
・なんだかんだでディスト(サフィール)に気に入られてしまいました。
・元気になっておうちに帰ったとばかり思っていたサフィールくん。
・久しぶりに顔を出したかと思ったらプロポーズしてきたではありませんか。
・「ごめんむり」とさっくり断ったら、なぜか誘拐されてしまいました。
・カイザーディストRZの中で脱出方法を模索中いきなり爆発。
・大佐にものすごくめんどくさそうに保護されました。

**********

「で、なんですけれど」
「はぁ」

見るのも嫌、と言った感じでふかぶかとため息を吐く軍人さんを見上げた。
爆発に巻き込まれた(というか直撃された)せいか体の節々が非常に痛い。妙に焦げた匂いがすると思ったらそれは自分の髪の毛だった。全焼で無かったのは幸いだが、これは結構な量を切らなければならないだろう。
なんたることだ。全く。

「なぜ私はこんなことに巻き込まれているのでしょうか?」

せめて理由ぐらい説明しろ。
常に無いことに、珍しく私は怒っていた。
体は痛いし、火傷はするし、髪は焦げるし散々である。急に連れ出されたから部屋着のままだし、飲みかけのとっておきのミルクティーだってまだ二口しか飲んでなかった。きっとすっかり冷めてしまっているだろう。それよりなのより、楽しみに待っていたノーズ博士の新しい論文がまだ読みかけだ!

「知りませんし知りたくもありませんが……」

怒り心頭な私をなだめることもなく、無責任発言をかますマルクト軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐はちらりと今だ燃えカスを残す金属とか木片とか色んなもので出来た珍妙な物体の名残を見て不快そうに眉を寄せた。

「アレがまた馬鹿なことをしでかしたということに間違いはなさそうですね」

アレって幼馴染でしょう何とかしてください、願ってはみたけれど。
さて何のことでしょう知りませんね、としらばっくれる大佐に引きつり笑顔で固まってしまい、タイミングを外すように次々起こる事件に押しも押されて。
前後の事情説明まで話すことが出来たのは、なぜか流れる水が美しい帝都グランコクマ。しかも皇帝ピオニー陛下の前でだったりする。

断髪シーンまであっという間で何やらスピードについていけてませんが。

ゲームとは違って、いきなり髪型整ってるなんておもしろい事態にならなかったのは良かった。
ゲームのムービーはルークがかっこよすぎて思わず笑ってしまったんですよね。いや、感動的なシーンなのはわかってるんですが。
何かもうミュウに癒されて仕方ない。
このあたりは仲間同士ぎくしゃくしてるところなので見ていて痛々しい。みんなの心の葛藤とか考えると創作的には美味しい部分なんですが、そういうのをとっぱらうと純粋に痛い。
その分キャラが作りこまれてるなーと感心もするのですが。

アビスは本当に力を入れて作られたんだなーと日々実感します。パーティメンバーの誰を主人公にしてもドラマが出来る。過去も未来もドラマティックな展開が期待できる。本当に創作意欲が掻き立てられるキャラクターでありストーリーだなぁと思います。
まあうちにあるのはどこまでも緑っこストーカーなお話な訳ですが(笑

ダアトからの脱出シーン、当サイト的に考えると誰が主人公を運んだのかと考えてみたらルークだろうという結論に達しました。
いやだって、ガイは女性恐怖症だから無理だし。
女性陣に運ばせるのは考えにくいし。
不機嫌オーラ放出の大佐がちょうどいい小間使い(ルーク)がいるのに使わない手はないだろうと。

そんないきさつを知って主人公はルークにお礼なんて言って、二人は結構な仲良しさんだといいなと妄想してみたり。

以下、上の話には関係ないけど創作中に思いついた小話です。

**********

戦闘後、ほっと一息をついた時に、彼女がしみじみと呟いた。

「しかしなんて言うかその……イオンは、邪魔にならないのがうまいのね」
「え?」
「みんなが戦闘に入ると、さりげなく手を引いて非難してくれるでしょう?それがすごく的確な位置に行ってくれて、みんなの邪魔にならないような、安全な場所だから……。守られ慣れてるなと思って」

ちょっとしょんぼりなイオン。

「守れるぐらい僕も強かったらよかったんですけど……」
「ダメですよー。イオン様はローレライ教団の導師なんですから!守られるのが仕事です」

ちっちっちと指を振るのは先ほどまで巨大なぬいぐるみを駆り敵をタコ殴りにしていたアニスである。
イオンは導師だ。下手に戦闘に首をつっこんだら、護衛役の意味が無くなる、と言いたいらしい。

「そうだね。そういう意味では、イオンは最高の守られ役だね」
「お姫様みたいですのー」
「おとなしく守られててくださいね、イオン様!」

きゃっきゃと盛り上がるミワ、ミュウ、アニスを横目に、ルークは深々とため息を付いた。

「……お前も大変だな、イオン」
「いえ」

慣れてますから、と微笑むイオンは、おりしもミュウが言ったとおり、お姫様みたいな儚げな様子だった。

前回の日記のあまりなテンションに、自分ごとながらちょっと引きました(汗
でもアレくらい上げていかないと気恥ずかしくて書けないので、仕方ないかー、と思ったり。
人前に出るのはどうにも苦手です。

さて、アビスの連載ですが、IF設定で雪国中心にしてもおもしろかったかなーと考えてたりします。

主人公は異世界トリッパーでも何でも無い学者。
イミル爺さんの助手を務めていて、発掘調査の途中、おかしな拾い物をします。

**********

「…………」

最初、砂浜で『それ』を見た時は、何か前衛的な、奇妙なオブジェか何かと思ったものだ。
しかし近づいて観察してみると、どうやらそれは人であるらしい。
頭から地面にめり込んでいて、尻を突き出す形で気絶しているらしいその人物を、ちょうど近くに漂着していた流木でつつくと「うぅ……」と小さなうめき声を上げた。

――おや、生きていたのか。

てっきり土左衛門様かと思い、一度手を合わせてからつついてみたのだが、それは無用の事だったようだ。
砂の中からうめき声を発したそれは、一度体を起こそうと手を踏ん張らせ……ずぷりと砂浜に手のひらをめり込ませ、そのまま引き上げることも叶わず、力尽きてべちゃりと地面に潰れた。

「……」

つんつん、と突いてみるが、今度は何の反応も無い。

ただの屍(しかばね)のようだ。


――というのは冗談で、ついに気絶してしまったらしい。
ガクリと落ちた肩まで、砂まみれでピクリともしない。

「博士ー変なの拾った~!」

うつぶせに倒れる彼をゴロンと仰向けに転がした。
砂まみれの銀の髪から、ぱらぱらと音を立てて砂がこぼれ落ちた。

遠くで、「またかー!!」叫ぶ博士の声が響く。
その怒声と波の音をBGMに、どうやってこの拾得物を宿屋まで運ぼうかと、ノーラはマイペースに思案に暮れるのだった。

*******

時間軸としては、初vsカイザーディスト戦で吹っ飛ばされた後ぐらいな感じ?
拾ったのはご想像通り、例のはなたれ君です。
絶賛応援中!
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名前変換小説サイト「チルダ」の管理人「さと」です。
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